酵素ブームで話題の生野菜、冷えにも良い?悪い?

冷え性対策を本やネットで調べたことがある方であれば、大体「冷え性の人は生野菜を控えよう」という記述を目にした機会があるのではないかと思います。このブログでも冷たいものは食べすぎないほうが良い、とか、生野菜の食べ過ぎに注意とか書いた覚えがあります^^;

 

わりと(私が知る限り)昔から「冷え性の人は生野菜・冷たい状態の生果物は避けよう」というのは定説化していたような印象がありますが、最近は“酵素”というものが健康維持やダイエットなどで注目されていることもあり「野菜は生で食べた方が酵素やフィトケミカルを摂取できるのだからから、むしろ生で食べたほうが良い」という傾向も増えているよう。

前者は薬膳系の影響が強い方・後者はローフード系の考え方の影響が強い方とする見解もあるそう。

 

生野菜は体を冷やすと言われるのは何故?

まず生野菜NGと言われる「体を冷やす」という点について考えてみたいと思います。色々なことが囁かれていますが、大まかには3つに分けることが出来そうです。

 

1.摂取時の温度が低い

生野菜が体を冷やす原因になる点として最もイメージしやすいものとして、内蔵型冷え性を起こす原因でも紹介していますが、摂取時の温度が低い=内側から内蔵などをダイレクトに冷やしてしまう危険性がある事が挙げられます。生野菜をサラダやスムージーにして食べる・飲む場合は直前まで冷蔵庫に入れているという方も少なくないでしょう。メーカーや製品によっても異なりますが、冷蔵庫の温度は概ね2℃〜6℃、野菜室の温度は3℃〜7℃くらいと言われています。また常温を意識しても生野菜であれば温度は10〜15℃くらいと言われていますから、体温から比べるとかなり低い温度のものを摂取していることになります。

 

この冷たいものを摂取して起こる冷えは一時的なもので、人体に備わっているホメオスターシス(恒常性)と呼ばれる環境を一時的に保つ働きによって元に戻されます。そのため冷たいものの摂取が総じて悪いという訳ではありませんが、冷え性の人は元々不足しがちな発熱量が胃腸の温度を取り戻すために奪われる可能性があります。内臓の温度を正常に戻そうとする働きに負荷になるほど冷たいものを摂取すると、一時的の“一時”が結構な時間になってしまう・末梢部へ熱が回りにくくなることに繋がる=冷えが重くなると考えられます。

 

2.水分が多い・消化が悪い

生野菜の特徴として、加熱料理をした状態よりも水分量が多いということも挙げられています。と言っても『日本食品成分表』でキャベツや大根など幾つかの食材を見てみましたが生と茹での水分量の違いは100gあたり1g程度の差異であるものが多く、巷で言われるほど水分量に差はありません。この説は体が冷える=水分代謝が悪くなる説との混同ではないかと考えられます。

 

ただし冷たいものを摂取することで胃腸の温度が下がる=胃腸機能が低下するということは考えられます。また水分の吸収・代謝が上手く行かないと水分過多になり消化液が薄められる可能性もありますから、冷たい状態で摂取する前提であれば「水分量が多くなりすぎる」という事も完全には否定しきれないかもしれません。消化という点で言うと、より単純に固さのある生野菜として食べるよりも加熱して柔らかい状態にしたほうが負担は少ないでしょう。

 

3.カリウムが多い

調理したものを食べるよりも生野菜のほうが様々な栄養素を補給できると言われていますが、その中にはカリウムも含まれています。この点に関してはメリットでありデメリットでもあると言えますが、カリウムは体内の水分バランスに関係するミネラルであり、利尿効果があると言われている存在。

 

むくみによって冷えが起こっている場合はメリットとしても働きますが、尿の排出とともに熱を下げる働きも持ち合わせています。こちらも一時的なもので身体は正常な体温を保持するように動きますが、冷たいものの摂取と同様に冷え体質の方の場合は体温を戻すまでに時間がかかる・末梢部に行き渡る熱量が減るなどの影響がある可能性もあるでしょう。

 

ちなみにカリウムは水に溶けやすい性質があるので加熱料理、というか茹でるような調理法を摂った場合に流出し減少する傾向があります。例えば『日本食品成分表』の中でホウレンソウ(通年平均)を見てみると、生の場合のカリウム量は100gあたり690mgであるのに対し、茹で状態では490mgとなっています。水分量は生92.5g・茹で91.5gですから、摂取目安量から考えると水分量よりもカリウム量の差異の方が大きいと言えますね。

 

生野菜が冷えとりに役立つとされる理由は?

生野菜が体を冷やすとされる理由としては上記の3つが大半を占めていますが、では逆に生野菜が冷え性の改善に良いとされている理由を見てみましょう。

1.栄養素・フィトケミカルが補給できる

冷え改善にも生の野菜を食べたほうが良いと言われる理由で、分かりやすいのは熱による栄養価の損失が少ないという点でしょう。例えばジャガイモなどに一部の食材を除き、基本的にビタミンCは熱にも水にも弱く減少しやすいビタミンであることが知られていますね。上記でご紹介したカリウムも料理法によって大幅に減少する栄養素ですし、その他にも熱に弱いビタミン類はいくつか存在します。

 

ファイトケミカルと言うのはポリフェノールやカロテノイドなど植物中に存在する天然の化合物の総称で、全てが熱に弱い・生で食べなければ失われてしまうというわけでもありません。ただし大根ほかアブラナ科に含まれているイソチオシアネート(を生成する酵素)など熱に弱い性質を持つものもあります。イソチオシアネートは代謝向上の働きも期待されていますから、冷え性対策としては失われないまま摂取したい成分と言えますね。ビタミン類やフィトケミカル類は抗酸化作用を持つものも多く血流悪化や代謝機能の低下を予防することにも役立ちますから、冷え改善にも生のまま摂取したほうが良いという意見に繋がりますね。

 

2.酵素が補給できる

生野菜押し、特にローフード派の方の主張として「生野菜は酵素が摂れるから良い」という記載を様々な場所で見ることが出来ます。種類にもよりますが野菜に含まれている酵素は48℃、熱に強いものでも60〜70℃になると失活すると言われています。このため酵素がしっかりと活性を保っている状態=生野菜を食べたほうが良いという見解ですね。こうした酵素は体内で代謝を助けてくれる働きもあるので、一時的に身体は冷えるものの結果としては代謝アップから冷えの改善に繋がるというのがこの考え方。

 

ところでこの酵素というもの、健康系の書籍やサイトを見ても一部の消化酵素以外“酵素”としか書かれていないものが多く、何の役割を持ち私達の身体をサポートしてくれるのは非常に曖昧な紹介のされ方をしているものが多いように感じます。健康食品系のページだと「とにかく何にでも良いよ」くらいの大雑把さ…。また上記でも参考にさせていただいたような『日本食品成分表』記載の栄養成分含有量のような、酵素含有量の明確な基準が無いことも難点ではあると思います。

 

調べてみた所鶴見クリニックさんの酵素についての解説ページでは、外部から取り入れる酵素(食物酵素)は“その食物自体を自己消化する。”と書かれています。食品に含まれている酵素自体が様々な働きをするというよりは、身体に本来ある酵素が消化系に奪われて代謝機能が低下しないようにサポートしてくれるというイメージのようです(詳細は参考元サイトをご確認下さい)。

 

野菜摂取は基本「バランス良く」が良い

これ以外にも東洋医学的な食品分類(陰性・陽性食品や五行分類)やアルカリ食品・酸性食品として野菜毎に良し悪しを分ける方法もありますが、生野菜全般としての良し・悪し両方の主な見解は上記となります。どちらの説も納得できるような、怪しいような微妙なところだなというのが個人的な感想です^^;

 

で、色々な本が出版されていたり、ネットでも喧々囂々と生野菜推奨派・否定派が意見を戦わせていますが…どちらにせよメリットしか無いということはないと思います。生野菜を食べるメリットとしてはビタミン・酵素・ポリフェノール他フィトケミカル類がしっかりと補給できることデメリットは摂取によって一時的に体温が下がる・体質体調によっては消化に負担がかかることでしょうか。

 

生野菜推奨派は一時的な体温低下はあくまでも“一時的”であるから問題ないと割り切っていますが、それこそ各人の体質やコンディションによるものであり、問題ないと言いきる根拠はないでしょう。また否定派には体を冷やすという事に反応して冷たいもの全般摂るなという方もいますが、健康体であれば多少の冷たいものの摂取は身体が対処してくれるので「絶対ダメ」と言い切るのは過剰反応過ぎるようにも感じます。

 

…というか、ゆる〜く身体のコンディションを整えたい私にとって、どちらかに固執する必要は無いと思えたりもします。生野菜を使ったサラダやスムージーを摂りつつ、蒸し野菜や炒め物・汁物なども食べるようにすると「冷たいものを摂取して身体を内側から冷やしすぎる」という難点も軽減することが出来るのではないでしょうか。また野菜類の大半は加熱することでカサが減りますから、量を取れる・いろいろな種類を食べやすくなるなどのメリットもあります。

 

お腹が冷たい・お腹を壊すまで冷たいものを摂取するのはやりすぎですが、適度に生野菜を摂取するのも良いのではないでしょうか。生野菜には生野菜の、温野菜には温野菜の良いところがあります。栄養バランスはもちろんですが、摂取方法もまたバランスよく行うのが確実でしょう。体が冷える・栄養が損なわれるという主張は片方に偏って摂取した場合に顕著に現れる問題であると言っても過言ではないような気がします。

 

エアコンや屋外の気温によって「寒い・冷えた」と感じている時や消化機能が弱っている時にはスープなど温かいものをメインに、朝など時間がない時やそこまで冷えや体調不良を感じていない時はサラダなどをメインに食べる、など使い分けて見て下さい。生野菜を食べて体のひんやり感が結構続くと感じる時は温野菜を多めにするなど、自分の体調と相談して食べ方を決めていくと良いと思います。体を温めたり消化をサポートしてくれる働きが期待できる薬味・スパイスなどを加えて食べるのもおすすめです。

 

参照:生野菜で体は冷える? 生野菜摂取のメリットとデメリット

 

冷え性対策について思うこと

今回は生野菜について調べましたが、結局のところ冷え性対策としてはバランスの良い食生活・規則的な生活リズム・適度な運動など、様々な面でバランスを良くすることを意識するのが大切なのではないかなと感じています。食事に関してでも生野菜(サラダ)を大量にモリモリ食べたりしている場合って、冷え性とか健康のためにって言うだけではなく「ダイエット」を兼ねている場合も多いのではないかなと感じます。その場合は三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)の摂取が極端になっていたりするので、その影響から冷えが悪化している可能性も否めません。

 

健康系の書籍やサイトは栄養士や医師などの資格がある方・著名人が書いたにしろ、実体験や調べたことを元に一般の方が紹介しているにしろ、多少の偏りがあったり各々の体質などによって違うんじゃないかなと思う事が結構あります。余談ですが、一対一の対面の場合でも家の近所の医者(内科)は何を言っても取りあえず風邪にするしねw

 

自分の身体をセルフケアするためにや、プログを書くにあたって色々なものを読ませていただいていますが。立ち位置や味方によって様々な見解があるし、中には極論でしょうと言いたいものもあります。今回の生野菜論争なんかもそんな感じですよね。自分の体の微妙な状態やニュアンス的なものが分かるのは結局のところ自分だけなので、健康維持的なものであれば良いと言われるものであっても自分の体調を意識しながら取り入れるのが最も確実な方法だとしみじみ思ったりします。

 

あとバランスね。昔流行ったリンゴダイエットみたいに、これが良いって言われて妄信的にそれだけを食べるのは非常に危険な行為な気がします。炭水化物制限ダイエットをして鬱っぽくなった時にも思いましたが。

今回の件でよりバランス良くを心がけつつ、自分自身の体感を大切にしようと思いました。

 

| 2018年04月28日 | 冷えとり小話 | trackbacks(0) |

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