そば茶は体を冷やすか、温めるのかを考えてみる

日本人にとっても非常に馴染み深い食材である蕎麦。麺として食べるのはもちろんのこと、お茶にしたり、ソバの実の殻を詰めて蕎麦枕を作ったりもしますね。そばアレルギーが一般的に認知されているのも、それだけ使用される機会が多いという見方もできるのではないでしょうか?

 

一時期、韃靼蕎麦茶が美白に良いとちょっとしたブームになった記憶がありますし、血液サラサラ効果が期待できる健康茶として紹介されることも少なくありません。血液サラサラ効果が期待できるなら冷え性の軽減に良いのかなと思ったら、ソバは体を冷やすから避けたほうが良いとしているものもあり…どうしたものかと調べなおしてみました。

 

そば茶・韃靼蕎麦茶とは?

私達からすると蕎麦=ザ・和食というイメージがありますが、世界各地で食用とされている存在でもあります。と言っても比較的冷涼な気候を好む植物ですので、中国・ロシア・北ヨーロッパなどユーラシア大陸の北側での栽培・食用が多いそう。日本でも北海道や福島・山形など北側で多く栽培されています。

 

ソバの原産は中国南部あたりとする説が有力で、食用の歴史も古いと考えられています。日本においてもまだ大陸と陸続きだった時に人々と共に入ってきたと言われています。9000年以上前の高知県の遺跡からもソバ花粉が発見されているのだそう。弥生時代には既に栽培されていたと考えられていますから、米よりも古くから栽培されていた可能性もありそうですね。

 

現在日本人にとって最も一般的なソバの食べ方は麺として食べることですが、「そば切り」が成立したのは戦国時代頃、麺状の蕎麦を食べるのが主流になったのは江戸時代中期以降と言われています。鎌倉時代に“挽臼”が伝来するまでは米のような感覚で炊くか煮込むかして食べていました。現在でもロシアなどではそのままお粥のように煮込んで食べることもあるそうです。気にしたことがなかったですが韓国の冷麺やイタリアのパスタなど蕎麦粉を麺に加工して食べる国もありますね。国によって使い方は異なりますが、粉にしてから加工する食べ方のほうが多いでしょう。

 

あまり意識せずに食べていますが、私達が普段食べている「お蕎麦」は普通ソバや甘ソバとも呼ばれるFagopyrum esculentumという種を原料としたもの。植物分類ではタデ科ソバ属とされていますが、同じソバ属に分類される別種植物は19種くらいあるのだとか。お茶売り場で見かける“韃靼蕎麦(ダッタンソバ)”というのもFagopyrum tataricumという同属別種です。

ちなみに韃靼というのは昔「韃靼人」と呼ばれたモンゴルに住む遊牧民族が好んで食べていたためだそう。韃靼ソバは普通のソバよりも環境の厳しい地域でも育つこと・自家受粉することなどから土地のあまり良くない山岳地帯で多く栽培されています。ただし苦蕎麦とも呼ばれるように独特の苦味があり、食用としてはあまり評価されていませんでした。しかし近年はルチン含有量が多いこと・普通蕎麦にはほとんど含まれていないシス・ウンベル酸が含まれていることなどから健康食品として注目されています。

 

そば茶に期待される健康メリット

日本では緑茶や麦茶に次いでメジャーな“お茶”と言っても良いような気がする蕎麦茶。ルチンの働きが報告され注目されたこともあり、蕎麦茶も様々な健康メリットが期待できるお茶と考えられています。ざっくりと蕎麦茶の健康メリットと言われているものを紹介します。

 

【アンチエイジング(抗酸化)】

蕎麦に含まれている成分としてよく取り上げられるのが“ルチン”などのフラボノイド系ポリフェノールではないでしょうか。ルチンはポリフェノールでもありますが「ビタミンP」と呼ばれるビタミン様物質の一つでもあり、ビタミンCを安定させることでビタミンCの吸収率や作用を高める働きも持ち合わせています。ルチンそのものも抗酸化作用を持つポリフェノールですし、ルチンが吸収を促すビタミンCも抗酸化作用を持っていますね。

 

このため蕎麦茶は抗酸化によるアンチエイジングを心がける方にとって、心強い味方と言えるでしょう。増えすぎた活性酸素を抑制することで健康維持にも繋がりますし、お肌など外見を若々しく保つ働きも期待できるでしょう。ただし蕎麦にはビタミンCが含まれていませんから、単体で蕎麦を食べたり蕎麦茶を飲むよりはビタミンCを含む野菜や果物類と食べ合わせた方が効果的であると考えられます。お茶であれば熱に強いビタミンCを含むとされる緑茶や柿の葉茶などとブレンドして飲むと良いようです。

 

【生活習慣病予防】

ルチンはビタミンCをサポートすることで毛細血管を強化し弾力や靭やかさを保つ働きがあると考えられています。これはビタミンCにコラーゲン生成促進作用があるため。コラーゲンというとお肌の印象がありますが、実は細胞を繋ぐ役割があるので身体の至る所に使われています。また抗酸化作用によって血中脂質の酸化によって出来る“過酸化脂質”の生成を防ぐことにも繋がるので、血管強化と合わせて高血圧や動脈硬化・血栓などの血液循環に関わる病気の予防に役立つと考えられています。

 

抗酸化とは別に、蕎麦に豊富に含まれているルチンは膵臓への働きかけ、インスリンの分泌を促す働きが見られたことも報告されています。ラットを使った実験では糖尿病の指標の改善や肝臓保護作用があることが確認されており、欧米では高血圧や糖尿病の治療の為の血管強化剤として使われることもあるのだとか。実際インスリンや血糖値に対してどの程度働きかけがあるのかは微妙なところもありますが、抗酸化作用によって細胞・血管のダメージを防いでくれる働きもあるので予防として摂取しておいて損はないでしょう。

 

【疲れ目軽減・眼病予防】

ルチンは血管強化に高い効果が期待されているポリフェノールですが、そのほかに目のためのビタミンとも呼ばれている存在。これはルチンが目のレンズの部分でもある網膜(黄斑部)にも存在しているためで、網膜の修復を助ける・眼圧を下げる効果などがあると考えられています。このためルチンの補給は視力低下や加齢黄斑変性などの予防効果が期待されています。

 

またルチンは抗酸化作用を持つことから紫外線やブルーライトなどで生じた活性酸素によるダメージの軽減、ビタミンCと協力して毛細血管を補修することから目周りの血流の改善などにも役立つと考えられます。視力低下・眼精疲労・目のかすみ・白内障などの予防にも効果が期待されていますし、老眼予防に良いという説もあるようです。

 

【認知症予防・記憶力向上】

ルチンは抗酸化作用によって脳細胞の酸化を防ぎ、脳機能を活発化する働きもあるのではないかと考えられています。また抗酸化作用とビタミンCと共にコラーゲンの生成を促し血管を強化することから、脳血栓など脳血管障害の予防や、それに起因する脳血管性認知症の予防に対しても効果が期待されています。

参照:蕎麦茶/韃靼そば茶|健康茶・期待できる効果効能紹介

 

そば茶は冷え性に良い? 悪い?

抗酸化物質であり、ビタミンCの吸収率や作用を高めてくれる働きを持つルチンを含む蕎麦茶。伊藤園さんの研究ではルチンの単独摂取よりも“そば茶”を飲用したほうが血液の流動性の改善効果が高いという報告もあり、蕎麦にはルチン以外にも血流改善に役立つ成分が含まれているのではという見解もあります。とちらにせよ蕎麦茶は血管をしなやかに保ち、血液をサラサラ状態にすることで末梢部までの血液循環をスムーズにする働きが期待できる=血行不良に起因する冷え性の軽減にも役立つと考えられます。

 

がしかし。

蕎麦には体を冷やす説・温める説の両説があります。

蕎麦が体を冷やす食材であるとされているのはカリウムやルチンなど利尿作用がある成分を含むことや、糖質量が多いことなどに起因しているそう。単に“ざるそば”のように冷えた状態で食すからではとも言われますが、体を冷やす成分が含まれているんだから温かいそば・蕎麦茶でも冷えるという人もいます。ややこしい事にソバは体を温めるから食べても良いという説もあり、ネットで調べてみた限りカオス。ちなみに温める説の根拠となるのはルチンの血行促進効果に加え、北で採れるもの・色付きの食品だからなのだとか。

 

ただしこのブログでも何度か書いている通り、利尿作用が完全に体を冷やす悪者であると言い切れないと私は思っています。というのも水分代謝が悪くてむくんでいると、余分な水分に熱が取られてしまう可能性もあるから。冷えからむくみが起こる・むくみから冷えると、鶏と卵のような関係であるという印象が強いです。また糖質に関しては「蕎麦茶」として摂取する分にはあまり関係ないでしょう。実を食べるわけじゃないですから。

 

なので(個人的な)結論としては、蕎麦茶は冷え性の軽減にも役立つの可能性が高いのではないかと。特に血行不良やむくみなど“巡り”が悪くて冷えているタイプの方には適していると思われます。逆に代謝が悪い・基礎体温が低いタイプの方は生姜を生で食べると良くないと言われるように、熱が尿として排出されてしまう・体の深部の熱が奪われて体温が下がってしまうなどの可能性もありそうです。自分の体を観察しつつ取り入れると良いのではないでしょうか。

 

韃靼蕎麦茶の方が良いと言われる理由

韃靼蕎麦は普通のソバ(甘蕎麦)よりもルチンが豊富に含まれています。ルチン含有量が約100倍というのは個人的にどうだか怪しい気がしていますが、ルチンが多く含まれているという点については間違いないようです。加えてルチンは水溶性物質のため麺を茹でるとゆで汁に溶け出してしまうという難点もあるので、ルチンが豊富な韃靼蕎麦を浸出して“韃靼蕎麦茶”として飲むのが一番効率的にルチンを摂取出来る方法だと言われています。

 

また冷え性とは関係ありませんが、蕎麦(甘ソバ)には微量しか含まれていない「シス・ウンベル酸」が韃靼蕎麦茶には多く含まれていることも認められています。シス・ウンベル酸はメラニン色素の沈着を抑える(チロシナーゼ活性を阻害する)ことで色素沈着を抑える働きが報告されており、シミ・ソバカス・ニキビ跡などの色素沈着を予防する美白成分として注目されている成分。韃靼蕎麦茶はルチンも多く含まれているので美肌・美白・アンチエイジングなど美容面でも普通の蕎麦茶よりも高い効果が期待できるお茶と言えます。

 

余談:そば茶にダイエット効果はあるか?

蕎麦茶について調べている時にちょいちょい「蕎麦茶はダイエットにも良い」という紹介文を見かけました。で気になって調べてみたのですが、ダイエット効果も期待できると言われているのはノンカロリーで利尿作用・血行促進作用が期待できるからという理由が挙げられていることが多いようです。

 

ノンカロリーについては、お茶と呼ばれるものは基本的にノンカロリーだと思うので蕎麦茶が特別というわけではありません。利用作用はむくみ軽減によって見た目をスリムにしてくれますが、水分が抜けただけで脂肪が落ちたわけではないので厳密には「痩せる」わけではないように思います。

 

…なので蕎麦茶がダイエットに役立つとしたら抗酸化作用&血行促進によって代謝が良くなるかもしれないって点が大きいのかなと。ただし元々の体質や飲み方によっては体を冷やす危険性もあるので、特に冷え性の方であれば「ダイエットにもなるし」とゴクゴク大量に飲むのは避けた方が良さそうです。というか私は何かのお茶を飲むだけで痩せたという経験はないので分かりませんが。。。

 

| 2017年10月07日 | ホットドリンク | trackbacks(0) |

トラックバック
トラックバックURL:
※ クリックで選択できます。
トラックバック一覧:
Copyright (C) そば茶は体を冷やすか、温めるのかを考えてみる | 温→暖活!! 〜冷え症改善〜. All Rights Reserved.